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[207] 感想ですV 投稿者:おるか 投稿日:2024/11/21(Thu) 00:49  



2 恋すてふ心地や京の小夜時雨    九鼠さん

京都のどのあたりでしょうね。暮れなづむ小路に折しも降る時雨。
雰囲気在りますね。
「恋すてふ心地」、良いですね。ただ、恋しているような心地というより、心の中でワン・クッションのある感じ、と言いますか、自分の気もちの状態を客観的にみている視線がある、印象です。それが、この句をただ甘いだけにしていない。苦さも孤独も良く知っている大人の味にしていると思いました。




7 片時雨ピザ屋火入れる三色旗    洗濯機さん


ピザと時雨がこんなに良く似合うとは!時雨にやや暗くなる視界にピザの窯の炎が飛び込んでくる。誇らしげな三色旗がかわいい!




21蓑虫の蓑もしぐれてしづくせり    ともこさん

枕草子でしたっけ、「蓑虫いとあはれなり」と秋風が吹くと「父よ父よ」とはかなげに鳴くという蓑虫の話が書かれていました。かわいそうなお話でした。蓑虫の鳴き声は聞いたことがありませんが、どんな声なのでしょう。
時雨に濡れてきらきらと雫をこぼす蓑虫。蓑を着ていると言っても寒そうですね。




22海峡の橋たんぽぽの帰り花    九鼠さん


たんぽぽの帰り花、ありますね。一輪の小さな花と、海峡をまたぐ大橋の大景がそれぞれの可憐さと壮大さを引き立て合っています。

海も空も青い風景の中に一点の黄を点じたところがますます印象的。






[206] 感想ですU 投稿者:おるか 投稿日:2024/11/19(Tue) 23:43  



9 街道は音楽橋は休符秋         おるか

うららかな秋の日に野道をゆくと「このままずっと歩いて行けたらいいのに!」とおもいます。名のある古道でなくとも、うねうねと続く旧街道には一定の間をおいて榎が植わっていたり、塚があったり開けた景色から、ものさびた街に入ったり、展開が音楽のように感じられます。
そして橋があれば必ず欄干によって、流れを見下ろします。
まぁ、それだけのことなんです。



20 歩道橋降る影溶けて夕時雨    洗濯機さん

雨に人影が溶けるように消える、という表現は詩や小説にもありますし、それほど珍しいものではないでしょう、しかし歩道橋を下りてくるほんのつかの間を捉えたところに臨場感があります。
そしてそれは、通り過ぎる時雨の脚の速さも鮮やかに印象付けます。
と、ここまで書いて気付きましたが、人影ではなくて、時雨の影そのもののことでしたか ?!
そのほうが、自然な読みかも知れませんね。




◎19 しぐるるや横に退屈一日かな    山椒魚さん

 横に退屈って、どういうことかな?

たしかに、横、の字は、横になって寝ちゃうにしろ、横着するにしろ、「縦」の真面目さに比べると、どうにも不真面目で、横紙破りで、横ざまに横暴だったりします。
さりながら、退屈で横になって、時折横ざまに吹き付けたりする時雨を聞いているなかなかに飄逸な趣です。




[205] 感想です 投稿者:おるか 投稿日:2024/11/18(Mon) 01:35  



5 湖を描き時雨を描いて逝きに けり       織女さん



三橋節子でしたか。私は彼女の花の絵が好きです。生命力が感じられて。

この句を読んだ、個人的な印象では、もっと無名の、でも、湖の風光を愛してひたすらに描き続けた人物をイメージしました。そして、誰にも認められることもなく貧乏でも、きっと幸せな一生だったのだろう、とおもったりしました。





15神の留守橋に一夜のにはたづみ     真里子さん



橋の上に、にはたづみができていた。そういう光景は確かに、どこかで見たことがあると思います。しかしこういう風に句にすることはできませんでした。

一夜のにはたずみとは、「一夜にしてできた」、ということか、「一夜限りの」ということかちょっと迷いましたが、何か不思議なものを見た印象にきょうかんしました

にわたずみですから、もともとすぐ消えてしまうものではありますが、橋の上という場所が、心もとないような、儚さを強調しています。それがまた、「神の留守」という季語のかもす空虚感、心のどこかの寄る辺なさのようなものと響きあって、絶妙だとおもいました。素晴らしい句だと思いました。




12なゐひそむ海しらじらと風時雨      洗濯機さん


凄い句だと思いました。風時雨というのも、あまり見ない表現ですが、海岸で、雨なのかしぶきなのか、風に紛れて打ちつけてくる状況は日本海らしい。
「しらじら」は昧爽でしょうか。時雨を走らす雲のほのかな明るさも、その下の大海も、すさまじくも美しい。作者は早朝の人気のない波打ち際に立って海を眺めているのでしょうか。
そしてその海の底には怪獣のような地震なゐがひそんでいるのだ。凄いです。

作者が、いつか自選句とかお選びになるときにはきっと入る句ではないかと存じます。記憶に残る一句です。というより長く記憶にとどめるべき一句、というべきか。








[204] 有り難うございます 投稿者:織女 投稿日:2024/11/17(Sun) 10:30  

私が思い浮かべたのは梅原猛の書いた 湖の伝説 で、画家三橋節子の愛と死が書かれた本の絵の様々です。琵琶湖の近くに美術館があるようですが、私は行かれないままです。本にある絵の様々から想像して作りました。
選んでいただき有り難うございました。


[203] Re:[201] 感想 投稿者:山椒魚 投稿日:2024/11/17(Sun) 08:40  

感想ありがとうございます。

16 石橋の途方投げ首寒鴉
以前自動車道で忘れられない鴉の行動を見て何とか言葉をと広辞苑で探していたら「途方投げ首」がありました。
意味は普通に途方に暮れるでした。私も初めて知りました。
鴉に似合うと思い使いました。ありがとうございました。




[202] Re:[201] 感想 投稿者:ともこ 投稿日:2024/11/17(Sun) 07:05  

洗濯機さん、感想ありがとうございます。

3 気比の丹を仰げばほのとしぐれけり
気比の丹は、福井県敦賀市にあります若狭一の宮、気比神宮の朱塗りの大鳥居です。
実は、時雨という雨がよく実感できないまま、作句しましたので、
「ほの」という表現が時雨に合っているか、不安なところでした。
洗濯機さんの解釈ですと、初しぐれ、としたほうが良かったな、と思いました。

4 しぐるるや雄島の橋に傘の花
おっしゃる通り、雄島は福井県の観光地、東尋坊のすぐ近くにある小島です。
実は、夏の炎天の日に渡りまして、傘は日傘なんです。
橋は250mほどの朱塗の橋で、海が荒れますとすぐ通行止めになりますので、
時雨の日に傘の花はないだろう、とお叱りがあるかもとドキドキしていました。

○21 蓑虫の蓑もしぐれてしづくせり
俳句らしい句とほめていただき、嬉しいです。
蓑虫の蓑、可愛くて、たまに見つけるとじっと見入ってしまいます。


[201] 感想 投稿者:洗濯機 投稿日:2024/11/17(Sun) 02:46  

◎19 しぐるるや横に退屈一日かな
老境に入っている人でしょうか.今日の一日という日が,
また過ぎてしまった.平穏というか,退屈といおうか.
傍らに猫のような「退屈」を寝かして暮らしている.
私は共感しますが,若い元気な方々はどうか.

○3 気比の丹を仰げばほのとしぐれけり
「気比」というお宮の朱のことでしょうか,さっと時雨れるのではなく,
ゆっくりと優しく気候が変わる,変わったことさえ気づかぬように.

○4 しぐるるや雄島の橋に傘の花
地図によると福井県からこぼれたような島があり,
一本のまっすぐな橋でつながっているようですね.
観光地なのでしょうか,訪れる人たちの傘の群れ.
時雨模様となり,いっせいに傘が開いた.

○16 石橋の途方投げ首寒鴉
「途方投げ首」という言葉があるようですね.
「思案投げ首」と「途方もない」という言葉の合成でしょうか.
面白い言い回しがありますね.

○21 蓑虫の蓑もしぐれてしづくせり
俳句らしい端的な観察ですね.
蓑虫の蓑も,虫界ではバーバリーのレインコートのようなものか.


[200] どうも 投稿者:おるか 投稿日:2024/11/16(Sat) 22:45  

今回も良い句がたくさんありましたね!
皆様の御感想も楽しみにしております!


[199] 結果発表! 投稿者:おるか 投稿日:2024/11/16(Sat) 22:42  

水族館句会十一月

兼題  時雨  橋

◎◎〇5 湖を描き時雨を描いて逝きに けり       織女
◎◎〇15神の留守橋に一夜のにはたづみ     真里子
◎〇〇〇12なゐひそむ海しらじらと風時雨      洗濯機
◎〇9 街道は音楽橋は休符秋         おるか
◎〇20 歩道橋降る影溶けて夕時雨    洗濯機
◎19 しぐるるや横に退屈一日かな    山椒魚
〇〇〇2 恋すてふ心地や京の小夜時雨    九鼠
〇〇〇7 片時雨ピザ屋火入れる三色旗    洗濯機
〇〇〇21蓑虫の蓑もしぐれてしづくせり    ともこ
〇〇〇22海峡の橋たんぽぽの帰り花    九鼠
〇〇3 気比の丹を仰げばほのとしぐれけり ともこ
〇〇4 しぐるるや雄島の橋に傘の花     ともこ
〇〇18 流木と折れし橋桁オリオン座    山椒魚
〇〇24 天狼や石切り場出て石橋に     おるか
〇〇25 時雨来と部屋の何処かの軋み出す   真里子
〇13 ふりかへるなかれ宇治橋初しぐれ   おるか
〇16 石橋の途方投げ首寒鴉         山椒魚
〇17 まず土橋より凍てはじむ故郷かな   九鼠
1 秋草に橋かかりゐる絵の子ども   織女
6 撮休日ため息ひとつ時雨止む    水種
8 大仕事終えて時雨の祝い唄     水種
10 お別れの橋見上げればオリオン座   水種
11 ゆふしぐれ孤高の人を思ふとき    真里子
14 湖に橋かけいくさの世の遠し    織女


[198] 選句です 投稿者:おるか 投稿日:2024/11/16(Sat) 21:48  



◎15 神の留守橋に一夜のにはたづみ
〇12 なゐひそむ海しらじらと風時雨
〇2 恋すてふ心地や京の小夜時雨
〇5 湖を描き時雨を描いて逝きに けり
〇21 蓑虫の蓑もしぐれてしづくせり



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