S その1=seed(たね)
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種というものはその生態(セイタイ)からして、わたしたちのイマジネーションをとてもストレートに動かすものだと思う。ひからびたような小さな黒いつぶつぶから瑞々しい芽が出て茎が伸び鮮やかな花が咲く、人生で最初にその事実を目の当たりにしたとき、体温が上昇してしまうくらいどきどきした。
ワークショップをするとき、種という言葉のイメージに随分たすけられている。バレエやモダンダンスのようなシステマティックな様式がわたしのダンスには無い。何を頼りに体が動いていくのかを伝えるときに、種という言葉が活躍する。
この種だからこの花が咲くように、種があるから体の動きが出てくる。
嬉しい気持ちが種なら、嬉しい体、悲しい気持ちが種なら、悲しい体。
種は、気持ちでも、具体的なもののイメージでも、抽象的なテーマでも何でもいい。
自分にとってリアルに感じられるものなら何でも。
種は、花の種、それから、手品の種。だから説明しなくていい。秘密のままで。
あなたのなかの種=秘密だからどんな芽が出てどんな花が咲くか。その「どんな」というところがダンスです。
わかりやすいでしょう? 種という言葉がじょうずに働けば、素敵な時間が流れ始める。