あなたに手紙を書こうと思ってからずいぶん時間がたってしまいました。
9月にはいってすこしたったころに、空気が澄んで光が明るく、世界全体がいっせいに「今日から秋ですよ」と囁いているような日があったでしょう。あの朝、目が覚めると、なんだかわくわくして、無性にどこかに行きたくなって家を出ました。ぶらぶら歩いたり、ベンチや草原やきりかぶにすわっておべんとうを食べたり、ひなたぼっこしたり、またぶらぶら歩いたり、そんなことを何日か繰り返して、きのう帰ってきました。
何となく歩いて、そのうちに知らない道に出て、何となく歩きつづけていたら、見覚えのある道に出て家に帰りついたので、どこへ行っていたのか自分でもわかりません。
そして、つまりは、ただ歩いたりすわったり眠ったりしていただけなのですがすごく、すごく楽しかったのです。いろんなものが、手をつないで大きな丸をつくっていて、その輪の中に自分も入っているのがわかるのです。
特に何かしなくても、居るだけですでに満ち足りていて幸福。そんな感じでした。
いいお天気は贈り物ですね。
あなたも秋の贈り物を受け取っているといいなあと思います。
うさぎへの返事
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