クミコさま
こんにちは!おてがみありがとう。
今日も、いちにち雨でしたね。6月だからしかたないと思うけど、ときどきはお日様の顔が見たくなるわ。
クミコさんがこのごろ雨の日を好きになったのはなぜなのでしょう。
可愛い傘を買ったとか?(きっと、もっとデリケートな理由ですよね。)
わたしの家から歩いて15分くらいのところにお花屋さんがあって、そこは雨の日に「雨の日セール」っていうのをやっていて、どんな花でも2割り引きにしてくれるの。
きっとお店の人も雨が苦手なんだろうな。だから、すこしでもみんなが楽しい気分になるように考えついたサービスなのでしょう。きれいな花と一緒なら、雨の日だってちょっと明るい気分になれそうだもの。
でも、実際には、雨の日には、傘をさしてバッグを持つと両手がふさがってしまうので、「雨の日セール」を利用したことはありません。だけど、傘をさしてお店の前を通るたびに、あら、「雨の日セールだわ」と気付くとちょっと嬉しい気分になります。誰かが花を買って家に帰るのを想像するだけでも気分が晴れてくるのかも知れませんね。
わたしのともだちのドナちゃんは晴れた日はもちろん、いつでもどんな天気でもゆったりと楽しむ人で、たとえば雨が降ってむしむしする午後なら、
「今日は空気が重たいから、バジルのスープと、フローズンヨーグルトを添えたパンケーキでお茶にしよう。」というでしょう。
そして、テーブルクロスには鮮やかなブルーを選んで、お茶の時間を楽しみながら、「とてもおいしいね、うさぎ。」といったり、「このブルーは空を切り取ってきたみたいでしょ。」といったりして、「たのしかったね、うさぎ。」と、帰って行くのです。
ドナちゃんにとっては晴れた日も、雨の日も、それぞれが「いい天気」なのです。わたしはなかなかそんなふうには思えないけど、雨が続いてどんよりしたときには、ドナちゃんなら今日のこの天気をどんなふうに味わって過ごしているのかしら、と想像してみます。そうすると、だんだん元気が戻ってくるの。だって、ドナちゃんはどんな時でもドナちゃんらしくゆったりやっているにちがいないんだもの。
クミコさんにドナちゃんのことを話していたら、なんだか元気が出てきました。
考えるだけで元気が出てくるから、友だちって本当に不思議なものですよね。
それでは、またね。
6月28日 うさぎより
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