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黒瀬朋子からうさぎへ 3


うさぎさま。

だいぶ寒くなりましたね。部屋の中でも手がかじかんで
うまく字が書けないくらいです。

こいぬくんはお元気ですか?
「ものごとは、やってくるときにやってくる。さっていくときにさっていく。
物でも人でもこいぬでも」 というコトバ、あんまり素敵だったので
たいせつな2人の友人にも教えてあげました。
私がお便りをいただいた日はすき間なく雲に覆われた
まっ白な日でした。 まるで、ジム・キャリーの映画のように、
この世界には”果て”があって、背かいまるごと画用紙でまあるく
包み込まれているんじゃないか! と思うような日でした。
ふつうなら息苦しく感じるそんな天気でも、あの日は
ドナちゃんは今日何をしようと言いだすんだろう? と
勝手に想像して、ほわほわした気持ちになれました。

 


そして私のもとにも小さなこいぬ!
ありがとうございます!!
名前は・・・最近気に入っている
ロッヌちゃんにしようかと
思ったのですが、このコは
男のコなので(なぜか確信しているのですが)
「ゴロゴロ」にします。 前あしをのばして、猫のようにゴロゴロのどをならしているように見えるからです。 もう甘えん坊なんだからー。

話はかわりますが、うさぎさんはバスにはよく乗りますか?
私は、住む場所も働いているところも、どちらかといえば電車の方が
便利なのですが、あのスピードと知らない風景を見られるのが
楽しくて、時間のあるときにふっと乗ってしまったりします。
先日お会いした方も、バスの終点がお好きで、自転車よりも
なぜいいのか・・・などお話ししました。
『おぱらばん』(青土社)という本を書かれた堀江敏幸さんという方
なのですが、とても素敵な本なので機会があったらぜひ読んで
みて下さい。パリに住む「私」が出会った移民の人との
交流を描いた短編。なにより文章が美しく、読んだあと
目の前の風景がかわったように見えるのです。

まっ白い一日が、うさぎさんの手紙を通じてきいたドナちゃんの言葉で
全く違うように感じられるように、カサカサした見あきた通勤路が
堀江さんの本を読んで、旅人のように新鮮な気持ちで見ることが
できたりする。
こんな、ほんのちょっとしたスイッチも、「やってくるときにやってくる」のかも
しれませんね。

ささやかなことでも、大きなことでも、たくさんのわくわくすることが
うさぎさんおもとにやってくるよう祈ってます。
このゴロゴロみたいに、飛びはねながら!

                      1999.12.20 黒瀬朋子


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