黒瀬さん
こんにちは!
暑中お見舞いただいてからずいぶん日が経ってしまいました。
夏はいかがでしたか?
黒瀬さんは日傘派なのね。
わたしはすごーくつばの広い白い帽子です。耳がちょっと窮屈だけど。
ことしは、あつくてあつくて、こいぬもわたしもちょっとバテてしまったわ。
とくにこいぬは、ふかふかのほわほわでしょう、(毛質のことです)、ことさら
暑かったみたいです。
こいぬのお水に氷を入れてあげたらとっても喜んだわ。
こいぬにとっては初めての夏で初めての氷なんですって。
あまり意識していなかったけど、こいぬはまだ生まれて一年経っていないのです。
わたしにとっては当然のように”また来た夏”。
でもそれが初めての人もいるのよね。そして、最後の人も。
こうして季節がめぐりつづけることを思うと、ああ......! っていうきぶんになるわ、っていったら、ドナちゃんが俳句の季語のことを話してくれたの。
季語というのは、その季節になると毎年することや、感じること。
する年もあるけどしない年もある、というんじゃなく、毎年必ず、なの。
そして、それをするときに、今生最期かもしれないという感慨を持つ、そういう事柄が季語になるのだそうです。
稚拙な言い方しかできないんだけど、わたしもそういうふうに毎日の生活を季節の中の瞬間としてとらえて生きてゆきたいな。たくさんの季語を心に刻んでいきたいなと思いました。
ところで、東京って年間の温度差と湿度を考慮すると、人間が生きる環境としては地球上でトップクラスの過酷な気候なんですって。
ここで生きているってことは、ほとんどどこででも生きられるってことになるらしい。
なんかサバイバルな気分になってきませんか。
こいぬは「やったー!どこででもへっちゃらだ!」と、はしゃいでいましたが、まさか、ここがそんなに住みにくいところだなんて!
他のところに住んだら夏もこんなにつらくないのかな。
もしかしたら自分の感覚とかも、土地の気候から作られている部分が案外多かったりするのかも。
それでは、またね。
げんきでね。
9月10日 ちょっとなつばての
うさぎより
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