先日、地球の寿命をあと10年と試算する学者がいると聞いて、もちろん地球が無くなっちゃうのは困るし、ちいさな子どもや自分以外の生命のことを思うとそれはとんでもない危機ですが、「あと10年」を自分の人生に限って考えれば、「それならそれでいいや」と思い、そんな自分がちょっと意外でした。
以前だったら、どうしよう!時間が足りない!と、相変わらず何者にもなれていない自分を強烈に焦ったはずなのに。
あと10回桜が見られて、あと10回自分の公演ができれば、それでいいじゃないか。
これってどういう心境なんですかねえ。我ながらあまりにも冷静で客観的な状態なので、それがどういった気分なのか、いまひとつわかりません。投げやりな気持ちではないし、もちろん自暴自棄なわけでもないし。そう悪くない意味で、いろんなことがどうでもいいといったところでしょうか。あるいは、時間に限りがあるということをビビらずに受けとめることができるようになったということでしょうか。
そうそう、「あと10回」云々と書いていて、ふと前にも似たようなことがあったなあと思い出したのが、2年前かな、タバコをやめた時のこと。あるとき友達に「わたし、タバコやめましたの」と言っているのがまるで他人の発言のように聞こえ、それはもちろん自分が言ってるんだけど、やめようと思ってたわけでもないし、唐突にそういう発言をすること自体まったく予想外で不思議だったのですが、それ以来、ふっつりと吸わなくなり、結果的には言った通りになりました。
今思うと、あの口調はどうみても自分の話し言葉ではなかったので、自分以外の何かに言わされてたのかもしれないけど、あの時と同じ種類の他人事のような客観性なんですよねえ、「あと10回」って。
もしかしたら、ほんとうにあと10回なのかもしれない。
と、再度、たたみかけても全然焦らないところが、ほんとうに自分らしくないのでした。 |